『みすず』読書アンケート特集|田中純 2007年02月05日
アンケートの対象者はどうやって選ばれているのだろう?
といった素朴な疑問を毎年感じながら、今年も回答している。
自分が挙げた書物は
佐々木正人『ダーウィン的方法』(岩波書店、2005年)選択はできるだけこのアンケートの場にとって異質なものになるように心がけている。
Horst Bredekamp: Darwins Korallen. Berlin: Wagenbach, 2006.
バーバラ・M・スタフォード『ヴィジュアル・アナロジー』(高山宏訳、産業図書、2006年)
岡田温司『芸術と生政治』(平凡社、2006年)
E・T・シートン『シートンの自然観察』(藤原英司訳、どうぶつ社、1985年)
伊藤邦武『パースの宇宙論』(岩波書店、2006年)
中沢新一『芸術人類学』(みすず書房、2006年)
『ヴァールブルク著作集』(ありな書房)
『デュメジル・コレクション』(ちくま学芸文庫)
レヴィ=ストロース『神話論理』(みすず書房)
食指が動いたのは
菅原和孝編『フィールドワークへの挑戦』(世界思想社、2006年)
水林彪『記紀神話と王権の祭り』(岩波書店、1991年)
長谷川眞理子他『行動・生態の進化』(岩波書店、2006年)
斎藤成也他『ヒトの進化』(岩波書店、2006年)
パーカー『眼の誕生』(渡辺政隆・今西康子訳、草思社、2006年)
ドーキンス『祖先の物語』(垂水雄二訳、小学館、2006年)
長谷川眞理子『ダーウィンの足跡を訪ねて』(集英社、2006年)
山口恵理子『椅子と身体:ヨーロッパにおける「座」の様式』(ミネルヴァ書房、2006年)
廣瀬浩司氏がジョルジュ・ディディ=ユベルマンの『ジャコメッティ:キューブと顔』(石井直志訳、PARCO出版、1995年)を挙げ、「よきアマチュア主義にこそユベルマンの本領があると納得しなおす。彼は理論の人でも論争の人でもない」と書いている。「よきアマチュア主義」という点には同意するところがなくもない。だが、論争は挑まれれば戦うしかないものなので、「論争の人ではない」と切って捨てることにどれほどの意味があるのかとも思う。そもそも「本領」などという規定はどうでもいいのではなかろうか。ヴァールブルク研究などでユベルマンと関心が重なり、大きな刺激を受けてきたことのほかには何の縁ももたない者ながら、そんなちょっとした違和感を覚えた。
カトリックを中心に近代化イコール世俗化のテーゼを修正した翻訳書と市野川容孝氏の『社会』(岩波書店、2006年)を三島憲一氏(この人の回答にはいろいろな意味で毎年注目している)が絶賛しているのをさもありなんと思う(その内実はあえて語らないでおく)。後者についてはほかに数人が挙げているが、その評言に共通性があることは興味深い。
これだけのデータが毎年蓄積されているのだから、それを分析して知識人論ができるのではないだろうか。かなり偏ったリストには違いないが、その偏りが何かを意味することもあるだろう。