『葬送のフリーレン』序盤に登場する魔族・クヴァールは、登場回数こそ少ないものの、その圧倒的な脅威と功績から、ファンの間では「ラスボス級の裏ボス」「退場がもったいない」と語られる存在です。
本記事では、クヴァールの異常な強さ、影響、そして彼が残した“魔法”という遺産について掘り下げていきます。
クヴァールの強さは「過去の魔族」ではなく「未来の脅威」
封印されていたのは80年前。しかし、その魔法は今なお通用するどころか、現代の魔法体系すら左右するほどの影響力を持っています。
彼が操る“ゾルトラク”は、人間の防御魔法を易々と突破し、魔法使いの7割を戦死に追いやったとも言われる人類の天敵そのものでした。
しかもこのゾルトラク、ただのビーム魔法ではありません。
速射性、貫通力、カスタマイズ性を兼ね備えた“究極の一般攻撃魔法”として、今や人類側でも常用されるほど。
言い換えれば、「最も人類を殺した魔法」であり、「最も多くの魔族が真似し始めた魔法」でもあるのです。
クヴァールは“防御魔法”時代の起点となった存在
現代では当たり前に使われている防御魔法ですが、クヴァールとの戦いを通じて確立された側面が強く、当時の魔法使いたちは彼のゾルトラクに為す術がなかったとされています。
フェルンがクヴァールの魔法を見て即座にコピーし、対抗する描写も、クヴァールの魔法がどれだけ解析可能で再現性が高いかを示すエピソードとして語られます。
つまり、彼の存在が人類の“魔法技術の飛躍的進化”を促したという点で、まさに“歴史を変えた魔族”だと言えるでしょう。
なぜ彼は“七崩賢”ではなかったのか?
クヴァールほどの実力がありながら、“七崩賢”には含まれていないことに疑問を持つ読者も少なくありません。
その理由としては、「術式が解明され得る」「魔法が純粋な呪いではない」といった条件が影響していると考えられます。
七崩賢の魔法は、“人類が理解も解除もできない呪い”であることが前提です。
しかしクヴァールのゾルトラクは、フェルンをはじめとする人間側にも解析されて再現されていることから、“技術”としての完成度が高すぎたがゆえに外されたという逆説的な評価ができます。
クヴァールという存在の“惜しさ”
ヒンメルたち勇者パーティーが封印を選んだのも、「討伐が不可能ではなかったが、犠牲が大きすぎた」ため。
しかも7年目という、旅の終盤での封印だったことが後に明かされ、「もっと早く倒せていれば魔王討伐も数年早く終わっていたのでは?」という声も上がります。
ファンの間では、「序盤のイベントボスにしては完成されすぎていた」「むしろ裏ボスにふさわしい存在だった」と評されており、登場シーンの少なさが逆に伝説化している稀有なキャラクターですね。
ゾルトラーク人類史を変えた“人を殺す魔法”
ゾルトラークとは、クヴァールが開発し、のちに人間側にまで広がった“極めて合理的な攻撃魔法”です。特徴は以下の通り
- 高速発動
- 高速連射
- 魔力の圧縮と集中による貫通性
- 操作性の高さと応用の多様性
これにより、従来の炎や雷といった“自然系魔法”と比べても、実戦における致死性・連携性・汎用性で優位性を持つようになりました。
「防御魔法」の進化を加速させた魔法
ゾルトラークの脅威は、「これにどう対処するか?」という問いを人類に突きつけた点にあります。防御魔法の研究が加速し、結果として魔法バトルにおける「攻防の高度化」が始まりました。
いわばゾルトラクは、“現代魔法戦の基礎”を築いた魔法なのです。
なぜここまで汎用化されたのか?
最大の理由は「再現性の高さ」と「シンプルな構造」。
フェルンのような天才でなくとも習得が可能で、しかも魔族ですら容易に模倣できることが明らかになっています。
また、ゾルトラークは術式自体が極めて完成されていたため、術者によるカスタマイズ性が高く、強化型や曲射型といったバリエーションも次々に開発されました。
クヴァールが遺した影響は今なお続く
クヴァールの開発したゾルトラクは、人類と魔族の“魔法の在り方”そのものを変えました。
もはや彼の魔法は個人の技術ではなく、ひとつの文化体系、あるいは武力構造そのものとなっており、これはまさに“神話的魔法”と呼ぶにふさわしいものです。
彼がもう少し人類寄りの思想を持っていたら、魔族ではなく“人類の英雄”として歴史に名を残していたかもしれません。
それほどに、クヴァールの存在は作品世界にとっても現実の視聴者にとっても、計り知れないインパクトを与えたわけです。